抗生物質の役割
ニキビ菌に対する好中球の動きを整理すると以下の3ステップになります。
1 菌が繁殖している部位にやってくる(遊走)
2 菌を自分の中に取り込んでやっつけようとする(貪食)
3 菌が繁殖してしまって食べるだけで追いつかない場合は武器(活性酸素)を使ってやっつけようとする
ニキビ治療では、この好中球の働きを応援すべく、繁殖してしまったニキビ菌の働きを抑えるために(制菌作用)抗生物質を使います。
抗生物質の多くはあくまでも好中球が菌をやっつけるのの手助けをする治療なので、抗生物質の作用は「殺菌」でなくて「制菌」です。ニキビに生じる膿は、菌と戦った好中球の死骸です。戦死した兵隊たちなのです。
なお、抗生物質はあまり長期的に使うものではないため、ニキビ治療のように治療が長引くケースにおいては他の治療法と組み合わせるなどの工夫が必要になります。では、抗生物質以外に菌をやっつけるための手助けをしてくれる援軍はないのでしょうか。
ここでニキビ菌についてもう少し詳しく解説します。
ニキビ菌も実は好中球と同じように、活性酸素(敵を攻撃するための武器)を発生させることができます。活性酸素を発生させるための燃料はポルフィリンといいます。このポルフィリンから大量の活性酸素を発生させることで、好中球はもちろんのこと、皮膚までも破壊しようと働きかけます。これは肌にとってマイナスなことになるため、ニキビ菌が大量兵器(活性酸素)を作る前に菌をやっつけないといけません。
その1つの方法として、活性酸素を作り出す燃焼であるポルフェリンを除去する方法があります。ポルフィリンは赤い色素を多く含んでいます。そこでこの赤い色素に注目し、特異的に攻撃して活性酸素を発生を抑え菌を死滅させる方法というのが、LED治療やM22などの光治療なのです。